院長のコラム

携帯電話のない上京 

携帯電話がなくても

昨日同様、若き現代作家はスタッフ以上に積極的に接客を行っていた。本人曰く、日頃創作活動で終日家に閉じこもっているので人に会うのが嬉しい、そうだ。コラボ商品に対する熱心な説明に加えて、商品を購入して希望する人には直筆の絵をマジックで描くサービスまでしていた。
白い服はいいなと思っても、しばらく衣類ケースに眠らせているとびっくりすることが多々ある。汚れが目立ちやすく黄ばみやすいのだ。このため白の商品を購入することはしばらくなかったが、こんな機会は滅多にあるものでない。記念に、白のT―シャツと所謂Y-シャツの2点を購入することにした。「何を描きましょうか。」と笹田さんから尋ねられたが、他の購入者のように「クマの絵を描いて。」など具体的な注文は恐縮して出来なかった。「お任せします。」の僕の返答に、愛犬を散歩させている耀司さん、愛犬に見守られながら煙草をくゆらせる耀司さんを画いてくれた。一点描くのに五分もかからなかっただろうか。ヨウジマニアの僕にピッタリの絵をプレゼントしてくれた。またいつか何処かで会える日を約束して、握手をして店をあとにした。

僕は、テレビ番組「開運!何でも鑑定団」に出演できないタイプの人間である。ものに対するこだわりがなく、物持ちが悪い。何でも鑑定団に出るような人は今回のようなことがあれば、サイン入りシャツを真空パックに入れてタンスの奥にしまっておくのだろう。そして何十年か後に、購入額の何十倍もの価値になることを目指すに違いない。
その点僕は「所詮服なんだから着てナンボでしょ。」、東京から帰った翌日に早速着て洗濯してしまった。折角のお宝が二束三文の古着に成り下がってしまった。しかし、酒席での話題くらいにはなるだろう。もちろん、描いてくれた絵もやや退色していたので、それもいつまでできることやら。

久しぶりの上京で、大変貴重な時間と機会を得た。勉強が主体の東京一人旅。合間に映画を観るか、東京にいる知人に電話して会うことも考えていたが、携帯電話を忘れることによってすべてが叶わなくなった。何もするあてがなく時間を潰すには、知ったショップに行くしかない。しかし、仕方なくが忘れられない思い出の場面に遭遇することになった。確かに携帯を持っていなくて不便だったが、無かったからといって何も出来なかった訳ではない。日頃携帯でメールをしないし、携帯がないので電話がかかってくる心配もない。日本の首都東京にいて、海外旅行でバカンスに行った気分、何にも縛られない自由を感じた。
帰宅して携帯電話を確認したが着信履歴は一つもなかった。自分が思っているほど他人は僕に必要性を感じていないようである。僕が医師になった頃、携帯電話はほとんど普及しておらず緊急の連絡ツールはポケベルだった。今なら考えられない超不便な連絡手段だったが、それでも当時は最先端の機器でポケベルが不便だとは誰も思っていなかった。携帯電話は本当に便利なのか、ある生活に慣れているだけなのでは、ふと考えた。携帯電話は無くても十分に生活できたし、無いが故に二度と無い経験が出来た久しぶりの上京であった。

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