院長のコラム

春間賢教授退任の会

遙か末席からの写真

「内視鏡を専門としています。」曲がりなりにも僕が言えるのは、飯田三雄先生と春間賢先生の元で働かせていただいた川崎医大での3年間があったからである。父が病に倒れ亡くなってから、かれこれ15年になる。父の意向もあり、医院は弟が継承することになった。いつかは開業したい、父の背中を見てきた僕は夢を抱いていた。けれども、当時三十代前半だった僕には経験不足と荷が重すぎることも理解していた。もう少し勉強しなきゃ、その当時、潰瘍性大腸炎やクローン病等の炎症性腸疾患に対する認識が不足していることを自覚していた。したがって、炎症性腸疾患を中心に学べる先を探した。その先が、母校川崎医大の飯田三雄先生の教室であった。母校とはいえ素性が全く分からない僕を、飯田先生はすんなりと受け入れてくれた。
教科書では知っているけれども実地診療では未知だった炎症性腸疾患に対する敷居はどんどん低くなるとともに、画像診断学に長けた飯田先生のもと、診断学の幅が広くなって行くことに日々喜びを感じていた。その矢先、飯田先生の九州大学転任である。教授室に呼ばれ、折角頼って来てくれたにも関わらず転任することへの心苦しさを伝えられ、「どげんすると?」と僕の行き先を案じてくれた。次期教授の春間先生は、ピロリ菌を中心とした上部消化管疾患や腹部超音波による画像診断が専門と聞いていたので、その時には自分の運命を呪ったものである。

赴任された春間先生は、明るく朗らかで別け隔てなくスタッフに声をかけてくれた。赴任当初、単身赴任で来られていた春間先生と広島から来られた鎌田先生、楠先生と僕とで、川大の職員・学生食堂名に由来する「一富士会」と称する夕御飯を食べる会が結成された。その時に伺ったユーモアを交えた春間先生の学問に対する思いは、何ものにも変えられない貴重な体験だった。
僕などが言うのもおこがましいが、春間先生を一言で言うなら「医師版・探偵ナイトスクープ」だろうか、日常診療における素朴な疑問や悩み事に注力する。そんな春間先生は、好奇心旺盛な有言実行家であり真の臨床家である。臨床研究は、試験管の中や動物実験だけではないことを率先垂範した人である。
春間先生の特筆すべき点は、経営者の視点も持ち合わせたことである。誰にも公平、来る者拒まずの態度の春間先生の元には優秀な人材が集った。人心掌握術に長け、組織づくりに精通している先生は、きっと医学以外の世界でも成功しただろう。

そんな春間先生の教授退官記念会が3月21日に岡山で開催された。春間一門として参加することは畏れ多かったが、馳せ参じたい一心で日帰りを決意した。集まった人数に錚々たる面々を見るだけで春間先生の人となりが理解出来た。
春間先生が川崎医大で過ごされた14年間は、僕にとっても激動の時であった。川崎での修行の3年間、修行で学んだことを実践した地元南和歌山医療センターでの3年間にその後の開業。長いようであっという間の期間を、春間先生の講演や話に重ね合わせ感慨深かった。自分のような学問の徒から外れた異質な人間が春間一門の末席を汚すことは重々承知している。しかし、表現形が異なるだけで学んだ精神は変わりないとも考えている。自分らしく自分なりに新たな気持で歩んで行こう、そう思った春分の日になった。

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