晴れ舞台
ギター発表会
五月二十二日、ギター教室の発表会があった。昨年六月から習い始めたギターも、早いものでちょうど一年になる。どうにかこうにかコードFを押さえられるようになった。8ビートも安定してきた。16ビートもかき鳴らせるようになってきた。フィンガーピッキングらしきものもできつつある。何度も挫折してきたギター演奏だが、週一回のレッスンで上達を実感している。とともに、継続は力なり、継続することの意義、重要性を改めて感じている。
今回の発表会は、日頃の成果を披露するまたとない機会である。七人の演者がいて、一人に割り当てられた時間は十五分、選曲は各人に任された。僕の場合、曲の選択は先生に仰いだ。プロの聞いた印象や視点が重要と感じたからだ。五月の第一回目のレッスンで、今まで弾いてきた曲をすべて聞いてもらった。第一声「佐野さんの『SOMEDAY』にしましょう。」ときた。「次(二曲目)は難しいですね、(ミスチルの)『しるし』でしょうか?」、間髪をいれず「でもね、最初の発表会でしょう。確実に歌おうと思うなら(スキマスイッチの)『全力少年』かな?」と悩み出した。
先生が悩んでいる間に僕も思案した。「SOMEDAY」「全力少年」ともに思い切りかき鳴らす曲である。コードを極端に押し間違えしなければ何とかなる。例え間違ったとしても、右手のストロークで何とか誤魔化せる。かたや「しるし」は、有名なイントロをアルペジオで再現して、しばらくアルペジオ、曲が進むに連れて16ビートを基調としたストローク、一旦落ち着いて再度アルペジオからストローク、そして山場は転調である。カポを一つずらさなければならない。そして叫ぶ声に呼応してストロークをかき鳴らす。しばらくストロークで弾いて、エンディングはアルペジオで閉める。こうして文章にするだけで難しさが分かろう。僕なりに熟考した。
結論は自ら出した。「『しるし』にします。同じ曲調のものを選択するよりも、異なる(曲調の)二曲を聞くほうが、聞いている方も楽しいのではないでしょうか。何よりも気分的に歌いたい曲が『しるし』なので。」、心配する先生を他所に啖呵を切ってみせた。僕は冒険者でもドン・キホーテでもない。発表までの約三週間みっちり練習をすれば、やれるという自信があった。現実的にも、ギター仲間の一人に披露したところ驚かれた。「びっくりしました。随分とうまくなっていますね。」という言葉が返ってきた。確信があった。
生徒全員が歌う楽曲が決定したところで次は歌う順番である。ミュージシャンかつ今回のプロデューサーである先生に決定権がある。我々生徒は師匠が決めたことに従順に従わなければならない。子供たちの発表会のように、年齢や経験年数で単純に並べればいいというものではない。各人の選曲と個性、会全体の流れを考慮して盛会にしなければならない。今回の発表会で生徒数が増えるかどうか、教室の命運もかかっている。
何と、僕がトップバッターに指名された。先生に多くを尋ねなかった、先生の意を汲んだつもりだ。正直不安はあったが、むしろ意気に感じた。そのような機会を与えてくれたことに感謝した。(つづく)