院長のコラム

最大の加害者

2023.10.21


ジャニー喜多川氏がしたことは絶対に許されることではない。性加害を徹底的に隠し続けた事務所、被害に遭っても声を出さなかった、もしくは被害に遭わなくても見て見ぬふりをしたタレント達。しかし、現実問題、ジャニーズ帝国の絶対君主にたかだか10代の子供が反旗を翻すことなどできたのだろうか。同性間の性加害がまだ認知されていない時代、君主による変態行為は常態化し、それをされるのが当たり前、それがある種登竜門になっていたとしたら、当時は企業風土と認知されていたのかもしれない。反旗を翻そうにも、それをして芸能界から抹殺されていった仲間を間近に見たら怖くて口を閉ざすしかない。それは不祥事が明るみになったビッグモーターもしかり、一代で帝国を築いた創業者に楯突くのは実際問題不可能である。

それでは、この問題を早期に解決出来なかったかと言えば、答えは否である。1999年末に週刊文春が連載した特集記事に対して、ジャニーズ事務所と喜多川氏側が、名誉毀損で1億円の損害賠償を求めて民事訴訟を起こした。最高裁判所まで争われたこの裁判は、一部の毀損は認められたものの、ジャニー喜多川氏の所属タレントに対するホモ・セクハラ行為に対する記事は重要な部分真実であると認定された。20年程前に、芸能ゴシップと思われていた内容が既に裁判所によって事実認定されていたのだ。けれど、新聞・テレビ・メディアはだんまりを決め込んだ。日頃、正義、公平・公正、弱者救済を、政府を始めとする権力側に声高に叫ぶこれらマスメディアが、ことジャニーズ事務所に限っては、悪・不公平・強者救済に目をつぶったのだ。今となっては、「ペンは剣よりも強し」の言葉が虚しく響く。ジャニー喜多川氏の性的虐待問題で明らかになったのは、事務所の体質もそうだが、テレビ・新聞・メディアの正体である。報道という名のもとに、本当に臭いものに蓋をしているのは実はマスメディアなのだ。

たらればの話をしても仕方ないけれども、20年前、マスコミがジャニー喜多川氏のホモ・セクハラ行為(性的虐待)を問題にしていればどうなっていただろう。現在華々しく活躍しているジャニーズ事務所所属のタレントは存在していただろうか。僕と同世代には、沖田浩之、竹本孝之、堤大二郎などジャニーズと双璧をなす男性タレントがいた。しかし、いつの間にかテレビから見かけなくなった。ジャニーズ事務所からの圧力とまことしやかに語られていたが、今回の問題で「さもありなん」が露呈した。性被害にあったかつての所属タレントも気の毒だが、夢を抱いて芸能界でデビューしたもののジャニーズ事務所からの圧力により芸能界から抹殺されていった才能ある若人のことを想うと、ただ少しだけ勉強できただけでのほほんと生きている自分にとっては胸が痛い。

メディアには権力監視の役割も求められている。日頃、政権に手厳しく米国追従姿勢に疑問を呈しながら、中国・韓国にはなぜかお手柔らか。この姿勢の根本が、今回のジャニーズ事務所性加害問題で自明の理になった。一言で言えば、自分たちにとって都合がよければいい御都合主義。今回の問題の最大の加害者は、権力監視を怠たり見て見ぬふりをしたメディアなのだ。ジャニーズ事務所を手のつけられないモンスターにしたのはマスゴミなのだ。「恥を知れ!恥を!」、安芸高田市市長の石丸伸二さんの言葉が強く響く。

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