院長のコラム

本能と理性の狭間で

2012.05.12

知らぬが仏

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ある日、ヤフーのトップページを開いたところ、注目の人として自民党参議院議員の片山さつきさんが挙げられていた。不思議だったのでクリックしてみると、びっくりした。本人自身というよりも、片山さんが起こした行動に注目が集まっているようだった。公式ホームページに、「年収5千万円もある有名芸能人の母親に生活保護不正受給疑惑がある。したがって、厚生労働省の担当課長に調査を依頼した」という旨のことが書かれていた。

その疑惑を読んだ時、咄嗟に怒りを覚えた。高収入を得ながら母親に生活保護を受給させる冷徹な息子。あるいは、通常なら扶養義務のもと支給されないことを承知で不正にお金を騙し取っていた親子。何れにしても、何て親子なのだろうか。しかも、疑惑がありながら何もなかったかのように毎日テレビで見る、本人も会社も知らぬ存ぜぬで通そうとしているのか。支払う側の市町村も、親子関係を知っていて支給するとは職務怠慢、そんなこと許されるか、怒りの3乗である。
ネット上でも大体同じような論調で、ものによっては相当生臭く書かれていた。

京都府の亀岡市で痛たましい事故があった。18歳の少年が無免許運転をして10人を死傷させた事故で、小学生の女の子2人と妊娠していた保護者の3人が亡くなられた。このニュースをテレビで見た時、とにかく心が痛んだ。被害者はもちろん被害者の家族のことを思うと、そして、もし自分が同じような立場になればと考えると食事が喉を通らなかった。
とともに、激しい怒りを覚えた。自分達の欲望を満たすだけの行為にひたすら耽り、挙げ句の果てに何の罪も無い人を無慈悲に死傷させた。政治的・宗教的背景はないが、無免許でクルマを運転するという行為は、破壊的行為を無差別に行うかもしれないという意味ではある種のテロリストである。しかも、未成年という名の下に名前は伏せられている。「こんな奴ら即死刑。少年法に守られるなら、子供を育てた親を市中引き回しの刑に。」と正直思った。
ネット上でも大体同じような論調だが、もはや名前、顔写真、住所が曝されている。

本能的に感じたことをありのままに述べたが、2件について少し冷静に考えてみた。
前者の件は、もし本当のことだったら由々しき事態であるが、まだまだ疑惑の状況である。参議院議員が自らの公の場で調査を依頼したとのことなので、しかるべき機関がしかるべき方法できっと厳正に調べてくれるに違いない。これは、政治資金規正法違反で強制起訴され、1審の東京地裁で無罪となった民主党の小沢一郎元代表と同じで、灰色だからすなわち黒ということにはならない。我々一般人は、小沢さんの強面の顔に、マスコミが作った悪代官というイメージが植え付けられているので、どうしても曇った眼鏡で見てしまう。ここは冷静になって、今回の疑惑の推移を見守って行くのが懸命だろう。
後者の件は、犯した罪は絶対に許すことはできない。しかし、映画「評決のとき」のような復讐は、法治国家では認められていない。法に則って粛々と裁きが下されるだけである。今回の件は危険運転致死傷罪の適用を断念し、自動車運転過失致死傷などの非行内容で家裁送致する方針になったそうである。罪を問える法的な規定がないとの理由だそうだ。個人的には納得できないが、法律を変えて行くしか方法がない。ネット上に少年の実名や写真をのせることはどうだろうか。少年法に基づいて実名報道がされていない現在、ネット上とはいえ許容されるものではないと思うが、知りたいという欲望があるのは否定出来ず、実際自分も検索したから何も言えない。辟易したのは、被害者や被害者家族への誹謗・中傷である。これには絶望を感じざるを得なかった。

知りたいという欲望を募らせて、その末に不愉快な思いをすることが多くなった。知らぬが仏、ネットとの距離を理性でもって保たなければと感じている今日この頃である。

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