汝自身を知る
続々医師会退会
医師会に対して疑問を持っていたところに、ある医師会幹部の一言が火に油を注ぐことになった。「医師会辞めてやる!」、昨年のちょうど今頃である。懇意な先生やメーリングリスト仲間の先生からなだめられるかたちで、一旦振り挙げた拳を渋々胸の内ポケットにしまい込んだ。しかし、握られた拳は二度と開かれることはなく、今年になって「医師会辞めまーす。」と拳を握ったまま挙手、いや大きく突き上げることにした。理由は、経営者の視点と自信及び個人の考え方・生き方である。
現在、市医師会の年会費は、非営利一般社団法人に移行するため6万円に抑えられている。それまでは24万円を支払っていたので、早晩同程度、もしくはそれ以上になる可能性が大きい。それに加えて日本医師会と県医師会の会費が少なくとも20万円はかかる。
しかも、政党への寄付金目的で医師連盟負担金という名の上納金を、上部から下部組織まで年間4万円程度支払っていた。自民党が与党だった頃には献金先を疑う余地はなかったが、民主党が政権を取って以降、どのような割合で与野党に支払われているのか、末端の会員が知るところでない。なぜか医師会入会と医師連盟の入会がセットになっていたことを後に知るところとなり、民主党が政権を取って以降、医師連盟は脱退させてもらった。
その他、医師信用組合等の費用があるので、現在最低でも年間30万程度の会費を支払うことになる。この費用の中で本当に必要な部分は、日本医師会費で支払っている医師損害保険の6万3千円である。団体割引が利いているので安くなっているが、個人で支払った場合10万円前後で収まる。
医師会という組織に30万以上を支払って根拠の無い安心感を得るのか、10万の経費で根拠の無い不安を抱えながら我が道を進むのか、考えてみた。
先ず、僕の未来予想図の中に、医師会理事やその先の会長という肩書きは見えてこなかった。内科総合専門医、医学博士、支部評議員以上の魅力を感じない。前者は組織の中での立ち回りや貢献度を求められるが、後者は資格を得るための努力を求められる。医師会幹部という結果が、自分が納得する努力に見合う地位とは到底思えない。
しかも、会員が思っているほど、その地位は世間に知られていない。うちのスタッフでさえ、現会長が誰か知らなかった。会長さえ知らないのに、理事など言わずもがなである。当たり前のことだが、医師会幹部の選択に民意は全く反映されない。
それなら、僕に対する民意ってなんだろう、とも考えてみた。1日の来院患者数なのか診察までの待ち時間なのか。改めて、専門領域である内視鏡件数が僕に対する評価であることを認識した。開院して5年、1年目は1200件程度の件数が、昨年は2400件にまでになった(今年は若干減少)。患者アンケートの調査から、開院当初は新聞広告や以前勤務していた病院時代の患者さんの割合が多かったが、ここ最近は8割近くが身近な知り合いから紹介され受診している。インターネットが普及して、情報を得ようと思えば容易になったこの時代に、「Face to Face」というアナログな情報伝達手段「口(くち)コミ」の強さに驚いている。
医業経営という観点から、我々の取り組み方に対する評価を理解するとともに、今後経営者として何処に重点を置くべきか、この5年で明確になった。そしてその重点が、医師会ではないことを悟った。 (次回 最終回)