院長のコラム

田辺大蔵様様

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演歌は聞かない。聞かないというよりも聞く年齢に達していないと言ったほうがいいのか。けれども、十年後に演歌を口ずさんでいるかと問われれば甚だ疑問である。NHKのど自慢を見ていても、演歌を選択する人の大半は僕よりも年上だが、中には若い人もいる。演歌を聞く人は、何がきっかけで演歌が腑に落ちてきたのか興味津々である。

勤労感謝の日、地元出身である田辺大蔵のデビュー10周年記念田辺公演に行ってきた。知り合いということもなければ、興味があったわけでもなく、高校の後輩に頼まれて半ば強制的に参加させられたというのが正直なところである。一人だけじゃ嫌なので妻も含めた五人を巻き添えすることにした。この秋、後輩が、記念公演の下準備のため帰郷した大蔵君と会う機会を設けてくれた。会食をしてカラオケボックスに行ったが、率直な第一印象は「気のいい兄やん」で、それ以上でもそれ以下でもなかった。歌手としてのオーラは全く感じなかった。したがって、公演の十分前に会場に入っても十分だろうと高をくくっていたが、会場に入ってびっくり仰天、ほぼ満員で最後尾の席しかなかった。後で聞いたところによると、三百五十用意した席に更に四十席追加したそうだ。

公演の感想を一言で言うと、「兎に角感動した、本当に感動した。」である。休憩時間もいれれば三時間の長丁場だったが、ゲスト出演あり、司会者との掛け合い等盛りだくさんで、全く飽きさせなかった。大蔵君は、歌はうまいのは勿論なのだが、喋る内容や間のとり方、客席とのやり取りが板についていた。ただの気のいい兄やんが、エンターテイナーとして舞台で華々しいオーラを放っているではないか。圧巻は、紀伊國屋文左衛門を主題とした長編歌謡浪曲であった。プロの凄みを、まざまざと見せつけられたように感じた。バックバンドは、ギター・ベース・ドラム・ピアノ・バイオリンの五人編成のせいか、演歌というよりも歌謡曲を聞いている感じで耳心地が良かった。後で分かったことだが、普段はジャズやJ-ポップに関わっている方達ばかりで、演歌畑とは少し異なるメンバー構成にしていたようだ。公演終了後、巻き添えにした五人に聞いたところ、皆が一様に「来てよかったー。」「三千円は安すぎる。」と感想をもらしていた。

三十を前に公務員の地位を投げ捨て上京した大蔵君、ほとんどが夢破れ失意を抱えて帰郷するところなのだが、プロとしてデビューを果たし、しかも十周年を迎えることが出来たのは、本人の絶え間ない努力の賜物だと僕は思う。誰もが簡単に「夢を諦めるな。」と言う。けれども、一体全体、夢を叶えられた人ってどれだけいるのだろうか。ただの兄やんが、ザッツ・エンターテイナーに、そして最後には、僕の希望の星になった。演歌を聞くことはないかもしれないが、彼の今後を温かく見守っていきたいと感じた。それとともに、彼に負けないよう自身も頑張らなければ、強く勇気づけられた演歌公演であった。演歌は無理と食わず嫌いで門前払いをしていたなら、こんな気持ちにはなれなかった。人に感謝、出会いに感謝の勤労感謝の日になった。

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