院長のコラム

破竹の勢いの中で

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僕のユニフォームと言えば公私に渡りヨウジヤマモトである。白衣を着ないので、出勤すれば上着を脱ぐだけで診療に当たっている。白のYシャツを着たいところだが、内視鏡検査をする上で色素を使用するためシミになる。したがって、パンツに黒のカットソーが定番になっている。そのヨウジだが、最近とにかく勢いがある。ここ数年、セールで追加購入する額が減った。以前ならセールを見越して購入を検討していたが、最近は期間中に完売することが多く目玉商品が残らない。店舗に行っても必ず客がいる。以前はディオールやサンローランを着ていたファッションに敏感な知人の美容師もヨウジを着始めた。僕の子供たちまでもヨウジやY-3と言い出した。ファッションの潮流がここ数年変わりつつあるのを実感している。

購入するのは基本的に青山にある本店である。ヨウジの本店と言えば世界の本店なので圧倒的に商品量が多い。スタッフがパリコレに借り出されるので旬の情報を得られる。何よりも、長年の付き合いをさせてもらっている店長さんが、ぼくの体型や服の嗜好をよく理解してくれている。関西に住んでいるので地元で購入するほうが何かと便利だが、金額換算できないものを本店購入で得られているように感じている。難を言えば、ポイントが付かないことである。ヨウジのショップはほとんどが百貨店の中に入っている。ポイントと称する割引システムを用いれば、期間によっては15%オフになることもある。十万円の一万五千円引きは大きい。この問題を穴埋めすべく、四、五年前くらいから、青山本店である程度の金額を購入するとトートバックがプレゼントされるようになった。半年ごと夫婦で購入するので、何時しか家族だけでは使えきれない数になってしまった。

先日、勿体無いからクリニックスタッフ全員にバックをあげた。妻がショッピングバックに使っているので、彼女達も何かしら有効利用してくれるだろう、日頃の感謝も込めて何気なくプレゼントした。そのことを次男に話ししたら「ほんま勿体ないわ、それだけで最低でも十万になるな。」、勿体無いからあげたのにそれが勿体無いとはこれ如何に。「メルカリに出せば、一万から二万くらいであっという間に売れるで。」とのこと。プレゼントバックが一万円するなんてびっくりである。勿論売るつもりはない。そもそも一万円の価値があるバックとは到底思えない。

近年、ヨウジを着ていることを公言する芸能人やミュージシャンが多くなった。ファッション雑誌でも頻回に取り上げられるようになった。2009年に倒産したことを思うと隔世の感がある。「ジョウジヤマモト?」「山本寛斎の親戚?」、何度も聞かれた。子供達から、参観日には極力目立たない格好で来るよう懇願された。揶揄されたり、ヨウジの服を着ないよう頼まれるほど僕の反骨精神は燃え盛った。一番それらしい格好で敢えて公の場に出るようにした。しかし、今や、変な格好のおじさんからメッチャおしゃれな中年に変わった。身銭を切って購入しだしてからかれこれ二十五年、僕自身全く変わっていない。もちろん、ヨウジヤマモトもアンチファッションというスタイルは全く変えていない。

そう考えると流行って不思議である。ヨウジヤマモトブームの原因は様々あるが、僕はその一つの理由をファストファション流行の反動と捉えている。リーマンショックという時代背景がデフレ時代の象徴であるファストファションの台頭を許した。いみじくもファストファションの対極にあるヨウジは木っ端微塵にされた。それが十年経った今、ファストファションブームに陰りが見られ、ヨウジが空前のブームにある。時代が今、山本耀司という強烈な個性を求めているのだ。この状況をデフレマインドからの脱却の兆候と考えるのは見当違いだろうか。経済指標は数多あれど、ヨウジを見続けて数十年、異なる視点から時代が変わりつつあるのを感じている。ただし、ブームにはいつか終焉が来る、今はただそれだけが心配である。

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