院長のコラム

禁断のフランク・ミュラー

2016.11.6

価格と価値  

フランク・ミュラーは、「フランク三浦」なるパロディー商品が作られるくらい超有名な高級腕時計ブランドである。
時計好きな僕にとって、かつて、フランク・ミュラーは全く眼中になかった。中身よりもデザイン重視に映り、パーフォーマンスと価格が乖離していると感じていた。何より、正規代理店以外で購入した商品のメインテナンスに高いハードルを設けている販売体制に違和感を覚えた。要は、この国では並行輸入品より遥かに高い正規品を購入しなさい、ということである(これには、正当な理由があることを後々理解できました)。したがって、時計店に行ってもフランク・ミュラーのコーナーは避けた。けれども、雑誌を見ていて気になるのはフランク・ミュラーの商品ばかりである。距離を置こうと思えば思うほど目障りで仕方がない。ある時、「これはいい!」心底思える商品が発売された。ちょうどその時期、無金利分割払い回数延長のキャンペーンが実施されていた。目の上のたん瘤が気になりだして五年、とうとう決断を下した。

フランク・ミュラーは、ヨウジヤマモトという一癖も二癖もある服に負けていない、同じくらいの存在感がある。そのせいか妙に僕の腕に馴染むし違和感が全くない。時計のことをあまり知らない知人から、「(かっこ)ええ時計しているな。」とよく声をかけられる。ブランド名を告げると一様に納得の表情を浮かべる。
腕時計の世界では、「オーディマ・ピゲ」「パティック・フィリップ」「ヴァシュロン コンスタンタン」の三大雲上ブランドがある。もし、僕がそれらの金無垢の革ベルトの時計をつけたとして友人たちは何と言うだろうか。きっと、「今日はどうしたん、えらい地味な時計してるな。」と言われるに違いない。
靴の世界でも、「エドワード・グリーン」「ジョン・ロブ」「クロケット&ジョーンズ」等の有名ブランドがある。価格や品質は世界有数のものだが、ことヨウジヤマモトとは全く相性が合わない。ラバーソールで革質が決して良いとは思えない、価格も三分の一程度の「ドクターマーチン」が最適である。

人それぞれに存在感があるようにモノにも存在感がある。人の価値には価格がつけられないが、モノには価格がつけられる。ある意味、価格がそのモノの価値を表現しているのだが、面白いのは存在感と価格が一致しないことである。価格の高いものばかりを身に付けても、決して自身の存在感が上がるわけではない。逆に、存在感の高いものばかりを身に付けても、人間性が上がるわけでもなければセンスの良い人だとも思われない。そのバランスが大切なのである。
毛嫌いしていたフランク・ミュラーを購入したことで、自分のモノ選びの価値観がいい意味で崩壊した。モノ選びにおいて気負いがなくなったように思う。前置きが相当長くなった。これが縁でこの十月、大変貴重な経験をさせてもらった。(つづく)
16-11-6-2

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