自費出版を決意!(長嶋、本を出すってよ!(中編))
購入品や食べ物、趣味だけの内容のない自称コラムよりかは、自分史、経営に対する思いや取り組み、教育論から時事まで、自分の意見を踏まえ幅広く書いて発信しているつもり。その内容が出版社の目に止まったのは、想像を超えた想定外のことで有り難いやら驚くやら。けれど、その独自の哲学と信念は、僕個人のもので一般論になり得ない。しかも、医学生や勤務医がターゲットなら、かなりのニッチ市場。さらに言えば、自己満足のために要する費用は自費のため数百万円。以前、同業者から自費出版本を進呈されたことがあった。非常に関心を持ったものの、内容は医学一般的なものでさほど感心しなかった。客観的・合理的に考えて一旦検討、保留することにした。その後、特に連絡なく月日が経った。「興味がないものと判断されたのだろう。」と胸をなでおろした。
それから半年後、再度同出版社から電話連絡が入った。今度は男性。出版話は無くなったものと考えていたから、「今頃なぜ?」という疑問と「なぜ電話主が変わったの?」不安を覚えた。オブラートに包む物言いはどうも苦手、単刀直入に訊いた。「前回の方はどうなったのですか?ひょっとして御社はブラック企業で中途退職したとか?ちなみに、あなた(電話主)の会社での肩書は何ですか?」と矢継ぎ早に質問。事情説明はもちろんながら、再度連絡してきたからには同僚か上司では随分意味合いが異なる。同僚なら出版話は単なる申し送り事項、上司なら解決すべき懸案事項。「前任者は寿退社しました。私は前任者の上司です。」と至ってシンプルな解答。それならと後日、再度オンラインミーティングを行うことに。
趣旨は前回同様、自費出版の要請。今回は同性ということもあり言いやすい。「本を出すと言っても雲をつかむような感じで実感が湧きません。どのような形で出版するか、ある程度具体的に提案してもらえませんでしょうか?」と前回のギモンを率直に問うた。こちらの意見を了承してもらい一週間後に返事を待った。提案は三案、①開業医・勤務医・医学生向け、タイトル「“三流男”の流儀で創る“一流の医療”」、③医師・長嶋雄一の人間物語で幅広い読者、タイトル「診療所の窓辺から」、②は①と③の折衷案、タイトル「心を動かす医療経営」。それぞれにしっかり章立て案も添付されていた。院長コラムをしっかり読み込まないと提案出来ない内容に心を動かされた。2026年は還暦を迎え、かつ独立を決意してから二十年の記念年。自身の人生を記憶としてではなく記録として遺す、記憶を呼び起こすことによって内省する、過去の出来事や出会った人々を思い起こし心新たにする。様々な観点から出版を決意した。(つづく)