記念日を改めて振り返る
佐野元春30周年記念コンサートin大阪(4)
僕の好きな佐野さんのアルバムジャケットです。
若々しい頃の佐野さん、目線といい表情といい、最高のスナップショットです。
佐野さんは偉大なロックミュージシャンであり、詩をビートに乗せ表現する吟遊詩人である。一言で言えば、音楽というフォーマットを用いて表現する芸術家である。ミュージシャンやアーティストとしての側面で語られることが多い佐野さんだが、ライブで見る佐野さんは偉大なエンターテイナーでありパフォーマーである。
ステージ上のパフォーマンスは、どのミュージシャンにも見たことがない佐野さん独自のスタイルである。マイクに向かって歌う姿、赤のストラスキャスターを振り上げながらステージ一杯走り回る姿、とにかくすべてが絵になる。
ライブも、起承転結のメリハリがしっかりしている。徐々に聴衆を佐野元春ワールドに引きつけて行き、「悲しきRadio」を中心とするロックンロールメドレーで最高潮に達する。クライマックスで「SOMEDAY」のイントロが流れれば、もう涙ものである。そこに集った皆が「SOMEDAY」を口ずさむ。何度、涙にむせびながら合唱に加わったことだろうか。この瞬間をたくさんの人たちと共有できることの喜び、「ああ、生きていて良かった!」、ライブでLIVEを感じさせてくれる佐野さんは、まさにロックロールエンターテイナーである。
今回は30周年記念コンサートということもあり、佐野元春ヒットメドレーのオンパレード、どの曲も思い出思い入れがあり、一緒に口ずさみながらコンサート楽しんだ。佐野さんのコンサートには何度も足を運んだが、今回は初期から最近までの曲がまんべんなく選択されていて、個人的にはベストな選曲だったと思う。
今回は30周年記念ということで、ゲストも多彩であった。兄貴分の伊藤銀次、友人の杉真理に山下久美子、佐野チルドレンと呼ばれる片寄明人、堂島 孝平、PLAGUESの深沼元昭、THE GROOVERSの藤井一彦、HEATWAVEの山口洋、LOVE PSYCHEDELICOが集い、以前の同僚と言っていいのか東京スカパラダイスオーケストラからスカパラホーンズが駆けつけてくれた。
「NIAGARA TRIANGLE Vol.2」をタイムリーに知っている我々の世代には、NIAGARA TRIANGLEに参加した3人が揃うのは夢のような出来事である。しかも、そのアルバムに収録されている、佐野さん自身ライブでは1回も歌った事がないという「Bye Bye C-Boy」が聞けたことには感動した。そして何よりも、NHKの「ソングラーターズ」を見て興味を持ち、息子に教えてもらって最近聞き始めたスガシカオが登場して、「ヤングブラッズ」を歌ったのには鳥肌が立った。
今回のある意味一番の大物ゲストは、元大リーガーの野茂英雄氏だっただろう。決して饒舌とは言えない、メディアにもあまり出て来ない彼が登場したことにはびっくりした。しかも、「僕はロックな生き方が好きです。」とまでコメントしてくれた。思わず吹き出しそうになったが、よく考えると彼ならではの非常に含蓄のある言葉である。
今でこそ、日本球界から大リーグへの移籍は珍しいことではないが、野茂さんが大リーグ移籍を決めた当時は、日本で活躍する超一流選手が大リーグを目指す事なんて考えられなかった。日本野球会からは半ば追放のような状況だったし、マスコミからは非難轟々であったのを覚えている。彼の活躍でその後のルール作りもされたし、何よりも我々日本人に勇気と希望を与えてくれた。
ミュージシャンとプロ野球選手、全く異なる職業であるが、「ロックな生き方」をする二人の対面に感動し、「ロックな生き方」、周囲に振り回されることなく自分の信念を貫く生き方を二人から教えてもらった。
コンサートから1ヶ月以上経過しても、このように振り返るってみると、改めてあの日の興奮がよみがえってくる。今後の人生でも、きっと忘れることの出来ないイベントだった。残念ながら東京公演は延期になったが、大震災を迎えた後の東京の記念公演、どうやって佐野さんは立ち向かって行くのだろう。ファンとしては、期待半分、不安半分である。