院長のコラム

長嶋、医者やめるってよ!(最終編)

医療人は周知かもしれないが、現在、医師免許を取得しただけでは医師として臨床の場に立つことは出来ない。国家試験合格後、2年間の研修を終了してようやく臨床医になれる。したがって、このまま研修を中断したままでは遠い将来、長男は家業を継承できなくなるかもしれない。次男と長女がまだまだ二人いるとは言え、二人とも長男に導かれて、「◯◯ちゃん(長男)が医学部に行けるんだったら自分も行けるやろ!」と医学部を目指した節がある。今回、長男の転職は、卒業が視野に入ってきた二人に相当なインパクトを与えたのは間違いなく、二人の今後の動向が注視される。そもそも「長嶋雄一クリニック」は一代限りと考えていたし、長男なのに家業を継がなかった自分に、「家業を継ぎなさい!」なんて子供達に押し付けがましく言う権限はないと感じている。先ずは自分のために生きて欲しいと願う。自分を生きられない人間が、他人のために生きていけるとは到底思えないから。

両親の了承を得た後、長男は病院長に直談判に行った。おそらく院長は年齢的に我々と近い世代だろう、自分の息子を諭すように助言・指導してくれたようだが、いかんせん長男の心は一つである。「親御さんに相談した?何か言われなかった?」と聞かれ、「はい相談しました。頑張れと言われました。」の返答には院長先生もさぞかし閉口したことだろう。病院の残務があり、新天地には5月からの勤務となった。とは言ってもリモートワーク主体で、敢えて引っ越しする必要もなかったため、生活環境は何ら変わることなく終日自宅でPCに向かう日々。新手のマルチ?と訝っていたけれども、両親に借金の相談はなく、予定通りの給与が振り込まれたの連絡に安堵した。ゴールデンウィークに会った際、様々な事を聞いた。詳しく話せば最先端の内容になり企業情報漏洩に繋がるので掻い摘んで話すことしか出来ないけれども、現時点での肩書を敢えて言うならAIエンジニア、生成AIと言っても多岐にわたり自分が専門とするのはキャラクターデザイン、医療の経験を踏まえて未来を見据えながら現在の仕事に取り組んでいる、独立起業もあり得るかもしれない等など。父は質問するばかりで、助言や指導する隙が全くない。我が子ながら、「この子は一体どこを目指しているのだろう?」空恐ろしくなった。

今夏、長男は一時帰省した。学生時代ずっと乗っていたクルマが何だかんだでガタが来て、国試合格を記念して購入契約したクルマが1年半かけて納車されることになったから。いみじくも、合格祝いが転職祝いになってしまった。「長男さん、お医者さんになったんですよね?」、「そうなんですが、医者を止めて全く別の仕事に転職したんですよ。」、帰省した中で多方面にわたってこんなやりとりが繰り返された。その都度、「医者になって別の仕事って?」呆れ返るような感心されるような複雑な反応が返ってきた。何となく医学部に行って、入学した大学にコンプレックスを抱きつつ、医師になってからはこのままでは勝負できない、自分なりの医師像を確立しなければならない!轢かれたレールの中でもがき苦しんだ僕。なのに、息子は二次元のレールから三次元の空へ飛んでいってしまった。その行先はどこか分からない。空を見つめながら落ちないことを祈りつつ、我が息子にかける言葉はまさに「舞いあがれ!」

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