院長のコラム

青文字盤

「青文字盤が大人気!」、腕時計好きには周知の事実である。数多あるロレックスのモデルの中で、年次カレンダーという複雑機構を持つモデルがスカイドゥエラーである。文字盤は白、黒、青があり、ステンレスモデルの定価は何れも約155万円強である。しかし、二次流通市場(中古市場)になると激変する。現時点で、白220、黒230、青文字盤は何と290万円で売られている。これは、大人気のオーデマ・ピゲのロイヤルオーク15500ST.OOも同様である。253万円の定価が、セカンダリー・マーケットで白345、黒362、青は衝撃の478万円である。何れも、正規店での購入は非常に困難なためプレミア価格で売られている。しかも、同じ定価のものが、文字盤の色によって雲泥の差が出てくる。こうなると、定価という概念は全く意味をなさない。

先日、知人夫婦と家飲み会をした。会話の中で、「最近、近くのものが見えにくくなって、」と奥さんがこぼした。「それなら通常の老眼鏡ではなく、自分の気に入ったフレームを購入して、それに老眼用のレンズを入れれば。」と夫婦でアドバイスした。妻が頼んでいたメガネが出来上がったとの連絡をちょうど受けていたので、家族ともども翌日、和歌山市にある某有名時計店を訪れることになった。知人夫婦は今回が初訪問とは言え、ご主人と店長は僕が主催する会で以前から面識があり気心がしれている。「いつか、高級腕時計が欲しい。」ということを話していたので、奥さんのフレーム選びをよそに興味津々と店内を見て回っていた。「○○さん、何か興味ある時計あるの?」と僕が問いかけたところ、「はい、グランドセイコーです。」と即答。「なんや、この人、買う気満々やんか。今日、買うんちゃうか。そんなに焦らんでも。」と内心思いつつ、「最初の高級腕時計にグランドセイコーは間違いない。」と彼の背中をそっと押した。

僕も腕時計に興味を持ち始めた時、セイコー一択だった。日本人の感覚や技術力を体現したものがセイコーと考えていた。ただし我が家の場合、僕の「IZUL」と「GALANTE」、妻の「M」と立て続けに裏切られ、SEIKOには未練も興味も全く無い。しかし、時計について一家言あるものとして主観を押し付ける訳にはいかない。彼がグランドセイコーのブースで店長から説明を受けている間、今までの知識と経験で持って自分なら何を購入するかという視点で陳列棚を眺めてみた。「おおっ、ひょっとして!」、深い青もっと言えば紺色のダイアルが一際目立つモデルがあった。グランドセイコー60周年記念限定モデル型番SBGR321である。たくさんの時計を目の前に戸惑っている彼が、「先生お勧めの時計ありますか?」と問うてきた。惑うことなくSBGR321を指差した。

間が悪かった、ちょうど60回分割無金利フェアーの時期だった。思案の末、彼はSBGR321を購入することになった。老眼鏡を買いに来ただけの奥さんにとっては藪蛇になってしまった。夫婦間に微妙な空気が漂っているのを感じた。腕時計は、ある意味男の浪漫である。「私に免じて今回の購入は認めて上げてください。」と僕は奥さんに請うほかなかった。きっと帰宅後、離婚届を突きつけられたに違いない。

何事も初めては緊張するものである。それがそれなりの金額を伴う場合は尚更である。彼の一大事に立ち会えたこと、選択に示唆を与えることが出来て光栄である。仕事以外で役立てたことも嬉しかった。普段、彼の専門分野でお世話になっていたので、少しは恩返し出来たような気がする。久しぶりに、他人の喜びを自分の喜びとして感じられた有意義な休日であった。

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