院長のコラム

頂上ブランド、パテックフィリップ

腕時計の世界では、三代ブランドと言われる超高級腕時計ブランド、いわゆる雲上御三家と呼ばれる三つのブランドがある。試しに妻に聞いてみた。「ロレックスと、後はSEIKOとブルガリ?」と妻。「(それは自分の持っている高い順やろ、)何も知らんな。パテックフィリップ、オーデマピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンやで。」と一つも持っていないにも関わらず得意げに語る僕。人によっては、ブレゲやランゲアンドゾーネをその中に入れる。けれどもパテックフィリップは、決して三本指から漏れることのない誰もが認める頂上ブランドらしい。

もう七年以上も前になるだろうか、顔見知りの大丸の外商さんが予告もなく家に来た。「今日は時計の担当を連れてまいりました。もしよろしければ見てくれませんか?」と彼。「見るだけでいいなら、後学のために見せてください。」と僕。腕時計の入ったトランクケースをばっと目の前に開けて、「どうですか?」と来る。見ても全くピンとこない。合点がいかないから「この中で一番どれがお薦めですか?」と問うた。すると同伴者は、「実は今日、パテックフィリップを持ってきました。」と誇らしげに語る。見せてもらったそれは、小ぶりで文字盤はクラシック、しかも革ベルト。「この人、何イキってんの?」全くもって理解できなかった。僕がうんともすんとも言わないから、「パテックフィリップの時計は、気にいったら買っておくべき、と言われています。後から欲しいと言われてもなかなか手に入らないんですよ。」ともったいぶったように話す。「はいはい、それがあなた達の(買わそうとする)手でしょう。」内心思いながら、「御縁があれば、その時はよろしくお願いします。」と適当にあしらった。

その後、いみじくもパテックフィリップから胸に突き刺さる時計が発表された。5960/1A-001という品番で、年次カレンダーにクロノグラフ、しかもステンレスブレス。僕にとっては走攻守揃った鉄板モデルである。「これ欲しいかも?」、初めてパテックフィリップの腕時計にときめいた。一歩踏み込めなかったのは文字盤が白だったからだ。「黒文字盤なら行くのに。」、どうにかこうにか踏みとどまれた。その後しばらくして、百貨店からワールドウオッチフェアのDMが届いた。パラパラ見ていたら、何と5960/1Aの黒文字盤、品番名で5960/1A-010が載っていた。「買う!!」決意した。すかさず価格を見たら「あかん、やっぱり買えん。」、瞬間に決意が失意に変わった。「またいつか、買える時がやってくるだろう。また逢う日まで。」一旦は諦めた。人の業とは不思議なものだ。決意は変えられないもので、その後どの雑誌のどの時計特集を見ても5960/1A-010以上のものが見えてこない。ワールドウオッチフェアの冊子を見てかれこれ一年経った頃、覚悟した。送付してくれた百貨店に電話で問い合わせてみた。びっくり仰天の答えが帰ってきた。「もう廃盤になりましたよ。」理由はよく分からないが、わずか一年足らずの短命に終わったようだ。

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