院長のコラム

2024年、我がスタイル論

かつては嫌悪したブランドが今や末端顧客に。「変節者」、「日和見主義者」と罵られるかもしれない。ヴィトン嫌いを公言していただけに、自分の中でもその葛藤は確かにあった。自身を納得させるために出した答えは、「たかがファッション、されどファッション」。スタイリングは服だけで帰結しない。髪型や身に付けるアクセサリー、靴にバッグとアンサンブルが大事。40代は全身ほぼヨウジヤマモトで固めていた。見る人が見ればそれはそれでお洒落なのだろうけど、ある時期から全身ヨウジが面白くなくなった、つまらなくなった。したがって、服以外のところに遊びゴコロを求めるように。僕は原理主義者ではなく現実主義者。ヨウジの服という基本・本質、根幹を変えずに、枝葉末節の部分で趣向を凝らせば、スタイルに相乗効果が増すように思えるようになった。それがルイ・ヴィトンだったに過ぎない。

ルイ・ヴィトンとの邂逅は2017年春。現代アーティストのジェフ・クーンズとのコラボレーション「MASTERS」コレクションから。購入する意欲は特段なかったけれども、この時に対応してくれた店長との出会いがなければ、きっと現在に至っていないだろう。それまでは小旅行と言えば黒のボストンバッグ。「MASTERS」シリーズ購入以来、色鮮やかな「キーポル・バンドリエール50」は、旅行前から心を旅に誘い、旅行中もホテルマンや周囲の目を引きつけ非日常に彩りを添えてくれる。食わず嫌いだったことを七年前に知り、知れば知るほど案外いいものがあることに気づいた。特に靴。ヨウジの服は個性的でインパクトがあるから靴もそれに負けてはいけない。ヨウジにも衣服のように個性的な靴は数多あれど、靴として歩いていて楽、心地が良いかというと機能的にはなはだ疑問。しかも、服のボリュームに案外見合わない華奢さのため、結局はドクターマーチンとのコラボモデルで合わせることが多かった。近頃のお出かけはルイ・ヴィトンが多くなった。

ファッションに対して敏感なようで実は鈍感な僕。WEBでファッションニュースを流し見する程度でヨウジ以外のことはよく分からない。アパレルに疎い僕でもファッションの潮流は変化しているように感じている。多様性が声高に叫ばれる昨今、グローバル化とIT社会で情報が均質化された中では、かつてのような右に倣えの流行はなくなったように思う。ということは、個性に重点が置かれるということ。「人を見た目で判断するな」という言葉があるけれども僕は懐疑的。それがすべてと思わないが、第一印象は重要。「必要なのはお金じゃなくてセンスです」なんてどこかの雑誌のキャッチコピーではないけれど、お金をかければ良いというものではないし、かと言ってyou tubeのサムネでよく見る「出来る男の服装術」のようにたかだかファッションで蘊蓄を語るのもどうかと思う。要は、自分らしさがスタイルに出ていれば良いのだが、これが一番難しい。年老いて、ルイ・ヴィトンが似合うような男(=歴史を重んじながら変化し続ける人間)になりたい、近頃そう考えることが出来るようになった。

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