院長のコラム

2020を振り返って

改めて今年を振り返ってみようと思う。とはいえ、今年の異常性や特殊性についてはもう何度も記してきた。とにかく、COVID-19に翻弄された一年になった。日常茶飯事、至極当然のことと何も考えずに行動していたこと、買い物や旅行、仲間との食事会といったものが、感染症学的観点に立てば超危険行為であることが白日の下に晒された。僕は地方(痴呆?)経営者なので実感はないが、一斉に会社に出勤して会社で仕事し営業まわりすることが、如何に異常であるか皆の知るところになった。会社に所属することの意義が問われているように思う。これは一部の学生も同様で、登校せずリモート授業を受けるだけなら、放送大学に入学して必要な資格試験を取ったほうが社会人として即戦力になるに違いない。大学に入学する意味って何だろうと感じている。

ニューノーマル(新常態)や行動変容と言った言葉が、コロナ禍中、叫ばれている。我々は、今までの常識や価値観に囚われることなく行動することを求められている。かくいう僕も同様である。不要不急と対極にあると考えていた医療が、実はそれほど急を要するものではなかったという現実を突きつけられた。病院や診療所を受診することは、かえって感染症の危険性を招くという事実が広く知れ渡ることになった。ピーク時に四割減の検査件数がそれを物語っている。クリニックの激減とは裏腹に、医療法人としては昨年と同等もしくは以上の収入だったのは、介護事業所の経営が安定していたからである。多角経営に踏み出したメリットをようやく、いみじくも新型コロナ禍で知ることになった。四月以降落ち込んだ医療機関の収入は、低迷したままと伝え聞く。当院は、九月以降何とか例年並みに戻りつつある。大腸内視鏡検査の需要を見込んで、診療体制を大幅に変更したことが奏功しているようだ。当クリニックは遠方から受診する方が多いので、今後、オンライン診療の導入も視野に入れている。

この年末、日経平均は三十年ぶりの高値を付けた。バブル崩壊後、失われた◯十年という言葉がずっと使われ続けてきた。現在の状況に対して、「実体経済と乖離している。」、「いよいよバブル」という声も聞こえる。けれど、僕はそう思っていない。むしろ、「株価なんて、そもそもそんなものなんです。社会の雰囲気や風、人間の欲望まで織り込んだ誰もが知っている経済指標、それが日経平均なんです。」と。日本という国は島国で隣国と陸続きではないため、比較的外的圧力を受けることが少なかった。これに甘んじて、構造改革や技術革新が叫ばれ続けながらずっと先送りにされてきた。今や一人あたりの名目GDPはOECD加盟国三十七カ国中十九番目である。一位がルクセンブルクで、二位がスイスなのでその指標の捉え方には多少の異論はあるかもしれないが、先進七カ国内で比較しても生産性が低下していることに違いない。今回のコロナ禍により、企業も個人も否が応でも変革することを求められた。日経平均の三十年ぶりの高値は、良くも悪くも日本経済に対する期待と僕は考えている。

年末に、小難しいことを小賢しく考えてみた。良い年だったかどうかと問われれば、経営的に厳しく辛かったのは正直なところである。けれども、全世界の人々が同様の経験をしたことを鑑みれば、健康で家内安全、仕事を継続することが出来ただけで良しとしなければならない。COVID-19が一刻も早く収束することを祈るばかりである。

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