999と999.9
ある日の出来事2題
999(スリーナイン)と言えば言わずもがな銀河鉄道である。
小学校6年生の夏、僕は中学受験目的で神戸にある進学塾に通った。結局は、東大寺学園1校を受けただけで(もちろん不合格)、地元の公立中学に入学した。現在もそうだが当時も通うことなど出来ないので、安いホテルに泊まっての通塾である。その当時「宇宙戦艦ヤマト」が空前絶後の大ブームで、神戸の本屋で田辺では売っていない「ヤマト」本を購入するのが唯一の楽しみであった。その流れもあったのだろう、当時松本零士本を読みあさったし、「銀河鉄道999」は全作購入したように思う。ヤマトの後に作られた映画「銀河鉄道999」は、中学1年生の時友人達と映画館に観に行き、ゴダイゴが歌った主題歌ももちろん購入した。しかし、その後は熱病から冷めるように、ヤマトや999に対してみるみるうちに興味が無くなっていった。
先日BS-NHKを何気なく見ていたら、「全部見せます、銀河鉄道999」という特集がされていた。主要な回を中心に1話全部を放送していた。この年になって改めて見てみると、人間と機械人間どちらを選択するかということで描く死生観への問いかけ、メーテルを通して描かれる理想の母性、鉄郎の命をかけてでも立ち向かっていく勇気、立ち寄った星にまつわる人生における教訓等々学ぶことがたくさんあった。急遽HDDに連ドラ予約をして時間のある時に見ようと思った。
後日見ようと思った時には、5歳の息子に消去されていることが分かった。これも人生かな、とあきらめた。
999.9(フォーナインズ)と言えば知る人ぞ知るアイウエアーブランドである。名前の由来は、常に完璧を求める姿勢を1000より0.1少ない999.9で表現しているそうである。
僕はどがつくほどの近眼である。中学時代には眼鏡をかけていたので、おそらく小学校6年生の時に勉強をし過ぎたか漫画を読み過ぎたせいであろう。眼鏡だと鼻根部(眼鏡と鼻があたる部分)とかかっている部分の耳が痛くなるし、大学生になって運動部に入部したのでそれ以来コンタクトレンズにしている。24時間コンタクトレンズというわけにはいかないので眼鏡も持っているが、二十歳の時に作った眼鏡を今だに使用している。僕にとっての眼鏡は、生活必需品でもなければ人に見せるものでもなく、寝る前にコンタクトが乾いて本が読み辛くなるのを助ける道具にしか過ぎなかった。定期購読していた「エスクァイア」でよくアイウェアーの特集をされていたが全く興味がなかった。しかし、フォーナインズというブランドがよく取り上げられていたことだけは頭の片隅に残っていた。
先日時計店に立ち寄った際、担当者に「眼鏡も一度どうですか」と勧められた。20年以上眼鏡を購入していなかったし、何よりも佐野元春さんが自身の番組でゲストと話す際、眼鏡を外したりかけたりするその仕草や振る舞いがとてもかっこ良かったので、食わず嫌いで鼻から興味を示さないのもどうかな、と思い試してみた。驚いたことにどれもこれもとても軽いのである。しかも締め付け感がほとんどないのである。何より、鏡に映る自分自身の顔もそうだが、全体の雰囲気が一変するのである。1時間以上試しに試し、思案に思案を重ねてフォーナインズのNP-43を購入した。周りの評判は比較的いいようである。本来眼鏡は視力を矯正する道具であるが、その時の気分や服装で印象を変える装身具、まさにアイウェアーとしての眼鏡もありかな、と思った。
後日「MEN’S EX」という雑誌の昨年11月号をぱらぱらと拾い読みしていたら、購入したフォーナインズのNP-43が取り上げられていた。何たる巡り会い、これも人生かな、と驚いた。
僕が購入したのはグレイから透明のグラデーションになったものです。