BOYS BE AMBITIOUS!
乾杯の挨拶
詩人のせいさんのブログからの写真です。
田辺市銀座通りにある「ポポラ銀座」の2階に
「椨」(たぶのき)があります。
この田辺市に、人工産物の極力入っていない作り手の顔が見えるようなこだわりの調味料を扱うお店「椨」(たぶのき)が11月25日に開店した。その当日、お昼にはフードコーディネーターによる催し物があり、夜にはレセプションパーティーがあった。オーナーは僕より一回りも年下で、ライオンズクラブや商工会議所、同友会等で知り合いになった訳ではなく、知人(この方も年下)を介して知り合った。年齢も職業も異なるが、経営者としての取り組み方や考え方が相通じるところがあるのだろう、今や飲み友達の一人である。
このオーナーが何を思ったのか、パーティーの乾杯の挨拶を依頼してきた。頼まれれば断れない性分なのですぐさま快諾はしたが、僕にしゃべらせるからには相当覚悟が必要であることを求めた。以前友人の結婚式で挨拶をさせてもらったが、「この結婚式は、おめでとう、と心底言えるものでしょうか?」から始めるし、同窓会では「女性の皆様もそろそろ更年期でお困りの方もいるでしょう」、医師会旅行ではそうそうたる大御所を前に「田辺市医師会敬老会の皆様」とやってしまう、毒づく挨拶が持ち前だからである。
今回おおまかに以下のようなことを話した。
「今回の調味料店の話を初めて聞いた時、彼の育ちや経歴はもちろん、この田辺市にそのような需要があるのかどうか、正直大丈夫かなと思いました。どう考えても不安要素ばかりでしたけれども、オーナーとじっくり話をして、調味料へのこだわり、調味料への想い、ひいては日本の食文化について聞かされた時、オーナーの不退転の決意を感じ取りました。そしてかつての自分を思いだしました。クリニック設立時に医療コンサルタントから、『東京の有名な建築家の建物にカッシーナのベンチを置いても、もらえる医療費は変わらないでしょ、それなら初期投資を極力かけない方がすぐに元を取れますよ。』と言われました。確かにお金を稼ぐことは大事なことです。けれども、自分の夢や理想を実現化することも同じくらい大事なことではないでしょうか。僕は、現実ばかりを見て一歩も踏み出せない臆病者より、無茶を承知で挑んでいくろくでなしが大好きです。自身がそうであったように、自分の夢や理想を追い求め歩んでいく人が僕は大好きです。だからこそ、僕はオーナーを応援したいし今後も応援していくつもりです。」
スピーチが終わって席につくや否やオーナーが駆けつけて「涙が出そうになるくらい嬉しかったです、ありがとうございます。」感無量といった感じの表情であった。パーティー会場を提供してくれたライブハウスのオーナーからも「自分に対して勇気づけられているようで、涙が出て来ました。」、弟のように慕ってきてくれる美容院のオーナーからも「先生、胸にぐっときましたよ。」と声をかけていただいた。
役目を無事に終えた安堵感とともに、若いと思っていた自分自身がいつの間にか後輩を育てていく年齢になったのだ、という感慨そして責任を強く感じた。
そのせいなのか、その夜から下痢になった。若いと思っていた自分自身がいつの間にか精神力体力ともに低下していることを嫌が応にも知らされた。