MOZU
テレビドラマの見過ぎ
近頃、目の調節力が極端に低下してきたため、ほとんど本を読まなくなった。終日、内視鏡と電子カルテのモニターを見つめているせいか、老眼鏡をかけて書類を作成しようとしても直ぐには書けない。逆に、しばらく老眼鏡をかけていると、外してコンピューター画面を見ようとすると一瞬くらっとする。したがって、極力眼の負担を避けるようにしている。
また、この年齢になると本を読まなくても、「学びて思わざれば則ち罔し。思いて学ばざれば則ち殆うし。」を実感している。本を読んで吸収するよりも、自ら考え判断する方が生きて行く上で理に適っている。
今クールは、視聴するドラマが近年稀になく多い。本を益々読まなくなったことが原因ではない。現在、毎週3本を楽しみにしている。
一つは金曜日の「アリスの棘」だ。最初から見ていた番組ではなかった。風呂あがりに退屈しのぎにテレビを見ていたら第三話が流れていた。あまりの面白さに、番組が終るやいなや、インターネットで第一話から見直した。一言で言えば、医療と復讐、そして家族と恋愛ドラマが絶妙に融合された物語である。明るく能天気なイメージの強かった上野樹里が冷徹な復讐鬼を好演している。今後の展開がますます楽しみなドラマである。
もう一つは日曜日の「ルーズヴェルトゲーム」である。「半沢直樹」と同じ作者、同じ番組時間帯に同じ制作スタッフなので、二匹目のドジョウを狙ったいかにもな作品と決めつけて初回は見なかった。たまたま録画していたので、消去する前に見たところハマった。半沢直樹と同様企業ドラマだが、孤軍奮闘する孤独な経営者の物語に、「がんばれベアーズ」しかり弱小野球部の成長の物語をうまく絡めながらドラマが進行していく。結末は読めるが、社長と野球部に今後どのような困難が降りかかり、いかに乗り切っていくのかが楽しみなドラマである。
トリは木曜日の「MOZU」である。北野武監督の映画「Dolls」から注目していた西島秀俊、映画「SP」シリーズのアクションが印象的だった真木よう子、もはや個性派俳優のトップと言っても過言ではない香川照之に、僕が一目を置く俳優の長谷川博己と、今をときめく錚々たる面々が出演している。しかも、通常のドラマとは一線を画する迫力ある映像はwowwowとの共同制作がなせる業か。当初、疑問が解消されないままのまどろっこしいテンポに面を食らったが、前々回からの急な展開に一気に面白くなった。一言で言えば巨悪を暴くミステリードラマであるが、個々の人間模様も丁寧に描かれている。逢坂剛氏の原作、的確なキャスティング、迫力ある映像美、スピード感・緊張感のある展開、ドラマの金字塔を打ち立てるのでは?と思うのは僕だけだろうか。
長谷川博己さんは、今回の作品でもカメレオン化している。前回の「雲の階段」の印象や存在感は全く引きずっていない。彼のことを知らなければ、存在感がないのに不気味な俳優で終わっていただろう。公安警察の闇を示唆する不敵な表情を巧妙に表現している、さすがである。
この3本を挙げてみて気付いた。どれもTBSのドラマなのである。TBSと言えば左寄り、もっと言えば反日偏向報道をする放送局のイメージしかなかったので意外であった。昨年の「半沢直樹」の大ヒットが印象的だったが、「ドラマのTBS」という言葉を改めて実感している今春である。