ON THE ROAD 2022(原点回帰へ)
六時定刻に開演。メンバー入場とともに1階席の人々は立ち始めた。傾斜の強い3階席は立たなくても十分に舞台が見える。周囲の同調圧力を受けることはなく、席を立つ人は僕同様案外に少ない。浜田さんが入場して「光と影の季節」のイントロが流れ、あの懐かしい声が会場全体に響いた途端、僕は無条件反射にスタンディング。しかも、「君に逢いたくて」のフレーズに続くオーオッオーオッウオーがマスク越しに大合唱。「HELLO ROCK&ROLL CITY」から「この夜に乾杯!」と続く流れで一気に会場のボルテージは最高潮に。それでも3階席の立ち率は7割程度。当初、訝っていた3階最後部中央座席も慣れれば、舞台全体を俯瞰でき会場全体の雰囲気も明々白々。しかも、自分のペースで座る立つが可能で、「ひょっとして特等席かも。」といつしか思えるようになっていた。
浜田さん曰く、今回の大阪公演は2016年の大阪城ホール以来とのこと(ファンクラブ会員限定除く)。友人に連れてもらってから、もう7年も経ったのだ。今回のツアーは、コロナ禍やウクライナ戦争を踏まえた上で、今一番聴いて欲しい曲をセレクトしたとも語ってくれた。中盤はバラードやしっとりした曲も多く、古希を迎えても衰えない声量に圧倒された。「わが心のマリア」とともにスクリーンに映し出された戦前のウクライナの映像も、問題意識の高い浜田さんならでは。中盤後半の「I am a Father」になると3階も総立ち状態。熱気は最高潮に達し、自主規制していた声援や合唱ももう抑えられない。休憩を挟んだ第一部と第二部、そして2度のアンコール、足かけ2時間半強のライブを十二分に満喫した。you tubeでいつも見るライブ映像の浜田さんは等身大、フェスティバルホール3階から見える浜田さんは人形のミクロマンほど。しかし、今回、ライブ映像とライブの雲泥の差を改めて認識した。会場の熱気やバイブレーションは、そこにいないと伝わってこない。会場の外の寒風がとても心地よく感じられた至高のライブだった。
ライブを終え振り返ったら、「路地裏の少年」「ラストショー」「僕と彼女と週末に」「愛の世代の前に」のライブ定番曲、個人的には「DARKNESS IN THE HEART(少年の心)」や「Pain」も聴けたらと思ったが、これらがなくても楽しめるのが浜田さんのライブだ。間口が広く、引き出しが多く、かつ懐が深い。何よりも、「観客の満足度がすべて」がひしひしと伝わる姿勢。老若男女が集うのは当然だ。いつも思うのは、浜田省吾さんは稀代のエンターテイナーだと。僕はこの歳になって、原点回帰している。ティーンエージャーの頃、強烈に影響を受けたミュージシャン、尾崎豊、佐野元春、浜田省吾の三人。三者三様だが、三人に共通するのは、僕の琴線に触れる力強いメッセージを含んだ詞を描くこと。もちろん才能ほとばしるメロディーメーカーであることは言うまでもない。子育てや起業に奔走し続け、音楽と距離を置く時間が長かった。ようやく一段落したと思ったらこのコロナ禍。佐野さんや浜田さんを聴くと、不思議とティーンエージャーの頃の気分に戻れる。そして何より、まだまだ二人には負けていられないと奮起し勇気づけられる。今年、佐野さんは新しいアルバムをひっさげてツアーに出るだろう。浜田さんもアリーナツアーを約束してくれた。2023年は、ライブに積極的に参戦する年にしようと思っている。ロックンロール・ショーは、まだまだ続く。